今日はどこへ行くの?

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足尾銅山

剣道の練習もありましたが、6月から父ちゃん出張続きで家にいなかったり、私と子どもたちは帰省したりで、なかなか家族で出かける機会もなく今日は久々の遠出です。


行先は足尾銅山。
小山に来る以前から一度行きたかったところですが、家の近くの渡良瀬遊水地に行って谷中村のあとを見たりしているうちに、足尾銅山本体をちゃんと見に行こうと思うように。


まずは足尾銅山観光へ。
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かつての鉱山の施設を見学することが出来ます。
トロッコに乗って坑内へ。
一つの山の内部に、総延長1200キロメートルにもなる坑道が網の目のように掘られているそうです。

展示は江戸時代の手堀りの様子から、明治時代に入って民間の手に渡り機械化された時代の様子、昭和の様子など、その時代時代の掘削の方法などが人形によって展示されています。

チビ、人形がこわかったようで「家にかえる~」と騒いで、父ちゃんや私の背中から見学。
もうちょっと前だと、顔を伏せて見ようともしなかったのですが、今日は騒ぎながらもちゃんと見学しておりました。

手掘りの時代もその後も、山の奥深くから鉱石を掘り出す作業というのは、危険と隣り合わせで、なおかつ過酷な仕事で気が遠くなりそうです。
当たり前のように使っている金属ですが、その大元の鉱物を採取するというのが大変な仕事であることに、改めて気付かされます。


ところで、気になったのは足尾銅山鉱毒事件については、ほとんど触れられていないこと。
田中正造のパネルもありましたが、さらりと。
鉱山側の展示施設ですから仕方ないことではあるのでしょうが、技術開発によって昭和の後半に入ってから煙害の元が断たれたというような表現の展示があるくらいでした。

なお、360年もの銅山の開発の歴史の中で、煙害が完全に断たれたのは昭和31年。
閉山が48年ですから、本当に最後の最後だけだったのですね。

鉱山開発の方に重きが置かれていたとはいえ、あまりにも遅すぎることに驚きました。






その後、渡良瀬川上流の砂防ダム近くにある「銅(あかがね)親水公園」へ。
こちらには環境学習センターがあり、銅の生産のために丸裸になってしまった山の再生の様子などを見ることが出来ます。


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砂防ダム付近から下流を見たところ。
右奥に見える背の高い煙突が、銅の精錬工場の煙突。
その右手の山が銅山。


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同じ場所から上流の砂防ダムを見上げたところ。
ダムの向うが松木渓谷。

植生回復のための植樹などが行われていて、表面は緑色ですが森とは程遠い状態。
写真には写っていませんが、岩がむき出しのところもある、荒涼とした風景です。
すぐ近くの中禅寺湖の周りの山々の深い森の風景とは全く違うことに驚かされます。


精錬工場から出た亜硫酸ガスを含む煙は、この深い谷間を煙突代わりにして上っていき、上流の松木村でも、太陽すら見えないほどの煙が立ち込めていたそうです。
鉱山の燃料のために山の木は伐採されはげ山になったところに、亜硫酸ガスによって植生は破壊され、露出した表土は雨に流され、周りの山々は岩がむきだした姿になってしまったとのこと。

足尾銅山の近代的な開発が始まったのは明治10年。その数年後から量産されるようになるのですが、煙害によって作物も育たなくなった松木村が廃村になったのは、明治35年。
なんという早さなのでしょう。

渡良瀬川の上流では、山は煙害で荒れ村は消え、下流の村も山が荒れたことによって洪水が増え、鉱毒の被害も受け、こちらでも洪水と鉱毒被害対策の遊水地のために谷中村が消え、ひとつの開発のもとでの犠牲のあまりの大きさに本当に重い気持になります。



この地が、銅山によって栄え、その銅が日本の経済を支えたのも事実。

でも、開発主体によって大きな犠牲が出、いまだ癒えない深い傷が残ってしまったのも事実。


足尾では、この二つの事実が、お互い何だか触れてはいけないもののようにそれぞれに存在している、そんな印象を受けました。

光と影と簡単には言えない重さが違和感となって、ずっしり胸に残ります。


帰ってから改めて見た足尾銅山観光のパンフレットの、「足尾砂防ダム、銅親水公園」の説明文に、その違和感が凝縮されているように感じました。


(足尾銅山観光パンフレットより引用)


雄大な滝のように流
れる水を観賞しよう!
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足尾砂防ダム 
銅親水公園
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足尾銅山観光から6km。
(車で約8分)

 煙害で一木一草もない、”日本のグランドキャニオン”とよばれる松木渓谷の入り口近くにある銅親水公園は、全長106mの銅橋から足尾ダムを眺めるには最高のビューポイント!橋を渡れば、水遊びができる『じゃぶじゃぶ池』や、足尾銅山の歴史や環境問題をパネルと映像で分かりやすく紹介する足尾環境学習センター、休憩が取れるコアハウス食事処などがあります。
 公園の周りには、雄大な自然が広がっており、周囲の渓谷とともに景観が楽しめます。
 また、二田元沢、久蔵沢が合流する地点にある砂防ダム。長さ204m、高さ39mという大きさを誇るダムで、4年5ヶ月をかけて昭和30年に完成しました。
 水しぶきを上げながら、7段に分かれて流れ落ちる水の様子は美しく、岸壁が続く周囲の景観ともよく似合います。
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by ts-kabakichi | 2010-09-06 02:25 | 栃木の風景