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カテゴリ:星( 1 )

皆既日食(タイ)

前回、皆既日食を見にモンゴルに行った話をちょっと書きましたので、その続きです。

私は、札幌の青少年科学館で天文指導員という学生のボランティアをしていました。
小学校などで行われる「移動天文台」という事業に参加して、天体望遠鏡を使って子どもたちに星を見せる、という活動です。
4トントラックにドームつき天体望遠鏡を積んだ移動天文車で、小学校のグラウンドなどの現地に向かい、天文車の大きな望遠鏡のほか、数グループに分けた子どもたちに小型望遠鏡を使って星を見せるというのがその活動内容でした。
父ちゃんも、ここの出身だったりします。

おかげで多少星には詳しかったりするので、兄ちゃんの星の観察の宿題の指導なんかに役に立っております。


さて天文好きにとっての最大のイベントが、皆既日食です。

部分日食でも、食(太陽のかけた部分)が大きければ、ある程度日の光が弱くなったりしますが、太陽が全部月の影に隠れてしまう皆既日食は、空の様子もまわりの景色も一変します。

部分日食と皆既日食じゃ、ほんとに月とすっぽんくらい違うのです。


私が見たのは、1995年10月24日のタイでの皆既日食。
晴天に恵まれ、参加した旅行会社が観測場所に借りたチョク・チャイという町の中学校のグラウンドで見ることが出来ました。
このとき、社会人の私とえりりんは正規の?日食ツアーに参加したのですが、まだ学生だった後輩たち4名は、その半額くらいの格安タイツアーでひとまずバンコクまで行き、後はひたすら路線バスにのって観測地をめざしたのでありました。
彼らはツアーより先に観測地の中学校に到着して、校長先生にわけを話したらえらく歓迎してもらえたようで、エアコンつきの教室を宿泊場所として提供してもらう、というつわもの振りを発揮しておりました。
ちなみに、通常のツアーの人たちはエアコンなしの教室が宿泊場所だったのですが、おかげで私たちもエアコンつきの部屋で宿泊できたのでした。
その後、つわものの中の1名は、見事天文学者になっております。


さてさて、肝心の日食です。

月の影に隠れて欠けていく太陽は、皆既の直前までは部分食とあまり変わりません。
いくら3日月の細くなっていても、光が強いので肉眼で太陽を見ることも出来ません。
でも、すべてが月に隠れる瞬間に、風景が一変するのです。

まず、次第に太陽の光が消えていく最後の残りの輝きがダイヤモンドリングと呼ばれる現象。まさに細いリングに光輝くダイヤモンド。

その強烈な光がすーっと弱くなって消えた後に見えるのが、真っ黒になった太陽と、そのまわりを取り巻いて真珠色に輝くコロナ。

空はほとんど夜のような暗さ。


この、コロナに囲まれた黒い太陽を見たときの感覚は忘れられません。

目に入るのはコロナと黒い太陽だけでした。
太陽って、こんなに小さいものだったのかと思いました。
本体こそ月に隠されているけれど、はじめて肉眼で見る、太陽の姿。
そして、静かに輝くコロナの美しさの見事なこと。

その小さな太陽に私は釘付けでした。
手の中に持った、カメラのシャッターのレリーズボタンは押していましたが、体が何だか浮き上がるようで、そのとき私には、自分の体がある、という感覚すらなくなっていました。
それだけ目の前の対象に全ての感覚が集中してしまっていたのでした。

かろうじて、一緒に参加していた星の師匠が
「地平線の方を見ろ、明るいのが分かるか!」と言ったので、ちらっと地平線を見たくらいでした。
地平線の方向は、皆既日食帯(地上の月の影になっている部分)から外れているので、光が差していて明るいのです。


a0076428_22315832.jpg

これは、このときに私が撮影した情景写真です。
地平線付近が明るいのが分かります。
なお、太陽の左下に見えるのは金星で、空が暗くなるので星も見えるのです。

手前の人と望遠鏡のシルエットは、なぜか私も一員となっていた星の師匠率いる観測隊の面々。
報告書を見ると、アルミケース4つ総計90キロの機材を持ちこんでの観測でした。
そういや、自分の荷物はリュックひとつで、えらく重たいアルミケース持って行ったなあ。。。

それはさておき、本当にこれは貴重な体験でした。
詳しい人について行けたのも幸運でした。

そして、皆既日食は一度見るとまた見たくなるといわれておりますが、その通りです。

で、その後モンゴルにまたでかけていくことになるのでありました…。
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by ts-kabakichi | 2009-01-11 22:48 |