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妊婦さん

昨日テレビを見ていたら、福島第一原発に近い「妊婦や子どもはできるだけ避難」をしたほうがいいとされている圏内の自宅に戻った妊婦さんたちと、その妊婦さんを支えるる医師の話が放送されていた。

放射性物質を避けられない不安な生活の中で、どう工夫してすごすか、医師自身が妊婦の自宅の線量をはかり、考える。
個人線量計を持ってもらって、対策を考える。

そして、外よりは自宅の中ですごす、といった案が出てくる。

避難所にいるよりは自宅の方が…と悩んだ末に自宅に戻られたという背景も語られる。



でもね、それでいいのかな。

赤ちゃんは、いつか外に出るよ。
芝生の上で歩いて、土で遊んで、草や花にさわる。
土だって何だって、口にいれるよ。
それが、こども。

小さな子どもの遊べない場所で、暮らすこと自体を許してはいけないのではないだろうか。

チェルノブイリでは、子どもと妊婦は優先的に避難の対象となった。
原発から30km以内の圏内は、今も「ゾーン」と呼ばれて厳しく立ち入りは制限されている。


避難所よりも、自宅よりも、安心して子どもを産み、育てられる場所をどうして提供しないのか。見すごすようなことをするのか。

そんなことを考えながら見ていたのだけれど、
スタジオでコメントを述べた医師の言葉に驚いた。

「このように、自宅という環境に戻ることも、ひとつの 正しい選択です。」と。

正確ではないけれど、こんなことを述べた。
いいにくそうだったけど。
(本当は、彼は戻るべきではない、と言いたかったのかもしれない。)


結果がよければ、正しい選択だった、といえるかも知れない。

しかし、今のまだ何もわからない時点で、そんなことを言ってまとめてしまっていいのだろうか。

このテレビを見て、さらに戻る妊婦さんや、戻ることを薦める人が出てくるかもしれないのに。
子どもを危険から守る、ということは、どこかに忘れ去れてしまったのだろうか。
国が言っている、「妊婦や子どもはできるだけ避難したほうがいい」という基準のあいまいさが、みんなを苦しめている。



だいたいにおいて、個人線量計というのは、放射線作業に従事する人が持つものだ。
そのような作業に、妊婦や子どもは決してつくことが出来ないはずだ。

子どもや妊婦に個人線量計を持たせて被曝量を調べたり、家の周りの放射線を線量計で調べるという生活自体が、もはや非常事態なのだ。
「安心」を与えるため、などと言うのはごまかしに過ぎない。
「安全」だったら、必要すらないのに。



ムスメの友だちは、夏休みのほとんどすべてを福島市の親戚の家で過ごした。
みんなが首をかしげて、そんなところに子どもを行かせていいの?と聞いても、その子のお母さんは「家の周りの線量はかりに来てて、大丈夫な数値だっていうし。」と聞く耳はもたなかった。


基準よりも低いから安心だ、というごまかしが、このような余計な被曝を生む。


昨日の妊婦さんについての番組も、「避難を勧められている地域でも、気をつけさえすれば子どもも産めるし、子どもと過ごすことが出来る。」という認識につながらないといいが。


最近の、子どもたちの周りを除染して対処しよう、とか今回のような、汚染された地域でどう暮らすのか、という話の持っていき方に、気味悪さを感じる。
食品の「暫定」基準値が、いつまでたっても「暫定」のままで、引き下げられることがないのもそう。

これは、震災後、原発危機のニュースがある時点で、「放射性物質とは?放射線の影響は?どう対応したらいいのか。」という報道になったときに感じた、気持ちわるさに似ている。


受け入れろ、という無言の圧力だ。
by ts-kabakichi | 2011-09-01 16:14 | 思うこと